文学

【再掲】マルセル・プルースト『失われた時を求めて』通読のための道しるべ

マルセル・プルースト『失われた時を求めて』を読みはじめたが、あまりの長さに最後まで読み切ることができなかった、迷路にまぎれこんだようになった ― こうした話はよく耳にします。挫折せずに長編小説を読み進む、しかも味読する秘訣はあるのでしょうか。…

短歌・俳句におけるモノローグとディアローグ

草藉(し)きて臥すわが脈は方(ほう)十里寝(い)ねたる森の中心に搏つ 森鴎外 『鴎外全集』 我が足はかくこそ立てれ重心のあらむかぎりを私しつつ 森鴎外 同上 鴎外はドイツに医学留学し、日本の文化と異なる近代合理文明を知り、個人としての自我の確立を目指…

吉田健一とプルースト

吉田健一にはプルーストと共通する点が多くある。両者とも教養に富む恵まれた環境の中で少年・青年時代を過ごしたし、フランスの作曲家セザール・フランクを好み、ベートヴェンの晩年の室内楽にも惹かれている。また、絵画の黄金期のひとつである17世紀オ…

『失われた時を求めて』第6篇『消え去ったアルベルチーヌ』を読む

1. 恋人アルベルチーヌは突然マルセルと別れ、その出奔後に落馬事故に遭い、死亡する。主人公マルセルは絶望にかられるが、アルベルチーヌの真の姿を知ろうとして、彼女が生前に見せたさまざまな面を思い出しては、真実の追求を様々な角度から続ける。しか…

はじめに 活発な読者として

学生時代から私は好きな本を何度も手に取っては、メモなども作り読後感想などを書きちらしてきました。定年後も折を見ては関連する書籍に目を通し続け、新たな知見も得てきました。しかし、私は次第に自分なりに考察したことを文書にまとめてみようと思うよ…

Ⅳ.立ち広がる新しい小説世界 「失われた時を求めて」 応答的創造のほうへ 4/4

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

Ⅲ.ゲルマント公爵家と主人公の変貌 「失われた時を求めて」 応答的創造性のほうへ 3/4

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については次回本ブログにて…

Ⅱ. 恋人アルベルチーヌ もうひとつの愛 「失われた時を求めて」応答的創造のほうへ 2/4

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

Ⅰ.「失われた時を求めて」 応答的創造のほうへ 1/4

私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリンク先をご覧くだ…

書評 工藤庸子「プルーストからコレットへ いかにして風俗小説を読むか」(中公新書 1991)を再読する

数年前に読んだ本書を今回再読してみたが、残念ながらやはり論述の速さについてゆけない箇所がいくつか残った。著者の工藤氏は多数の引用を行うが、集められた資料は、時に狭い意味での風俗の事例として使われている。 結論部分でも、著者工藤氏は女性と性的…

永井荷風 もうひとつの「断腸亭日乗」

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

越境する芸術・文化

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

谷崎潤一郎 ー 音曲の活用

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

書評 芳川泰久「謎とき『失われた時を求めて』」新潮社2015年

本書「謎とき」の前半と後半で論じられている二点に絞って、感想を述べたい。本書の後半で著者は、主人公と母親がヴェネチア滞在中に訪れる洗礼堂の場面(第6篇「消え去ったアルベルチーヌ」)に注目する。このサン=マルコ寺院では、母親は聖母のイコンと…

「失われた時を求めて」第1篇「スワン家のほうへ」を読む

「失われた時を求めて」の第1篇「スワン家のほうへ」を読む愉しみはどこにあるのだろうか。第一部の田舎町コンブレや第三部のパリの平凡とも見える日常の描写にも魅力は潜んでいる。その生活描写には実は主人公を創造行為へと誘い導いてゆく力が底流となっ…

私の好きな俳句 加藤楸邨と芭蕉

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

プルーストの文はなぜ長いのか

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

戦時下のフランスに島崎藤村が見たもの

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

堀辰雄『風立ちぬ』に誤訳はあるか

2024年5月18日 私のブログ「オルフェウスの歌」の書籍化が決まりました。 書籍のタイトルは『受容から創造へ ― 文学・芸術に導かれて』です。 ブログ記事に手を入れ、新たに漱石論を書き下ろし、増補改訂版を編集しました。 詳細については本記事末尾のリン…

<小林雅子展 ― 今日の本棚・後編>を観る

上の写真は左から、 展示会案内状、作品「風と共に去りぬ」、作品「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 小林雅子さんの作品 ― アート作品と呼ぶべきか― の一部は当ブログのタイトルバックとして掲載させて頂いています。 6月のとある日、小林雅子さんの…